マグネシウム投与による大うつ病の早期回復

公開日:2015年3月11日

マグネシウム投与による大うつ病の早期回復

2006年、2010年に米国の研究者らは、マグネシウム投与によりうつ病の早期改善が図れた報告をしているので、その論文概要を以下に紹介します。

大うつ病は、不全感、落胆、活動低下、悲壮感、快感消失と悲嘆によって特徴付けられる気分障害です。これらの症状は、日常生活に悪影響を与え、時には自殺企図を起こします。

抗うつ薬は必ずしも有効ではなく、特に若い人たちの自殺者数の増加を引き起こすことが問題視されてきました。

マグネシウム不足は神経疾患を生じることが知られています。

全粒小麦に含まれるマグネシウムのわずか16%が小麦粉に残り、マグネシウムはほとんどの飲料水の供給から除かれ、ヒトはマグネシウム不足に陥っています。

マグネシウムイオンは、神経型一酸化窒素産生を調節するのを助け、神経カルシウムチャネル中のカルシウムイオンの流入を調節します。マグネシウム不足では、神経細胞に必要なマグネシウムが満たされない可能性があり、うつ病の主な原因となる神経細胞の損傷を引き起こします。このことからもマグネシウム投与の効果は、神経細胞内のマグネシウム不足に起因している大うつ病に有効であると推測されます。これらマグネシウムイオンによる神経障害は、ストレスホルモン、食事性マグネシウム摂取不足と同様に過剰な食事性カルシウム摂取によっても引き起こされる可能性があります。

今回紹介する研究報告では各食事と就寝時に125~300 mgのマグネシウムを摂取することで、大うつ病からの迅速な回復(7日未満)が示されています。マグネシウム投与は、一般的な用量でうつ病の治療に効果的であることがわかりました。これら大うつ病に関連および併発する精神疾患に含まれる外傷性脳損傷、頭痛、自殺観念、不安、神経過敏、不眠、産後うつ病、コカイン、アルコールやタバコの乱用、カルシウムに対する高感受性、短期記憶喪失及びIQ低下も改善がみられました。

過度のカルシウム、ストレスと相まってマグネシウムの食事からの摂取不足は、興奮、不安、神経過敏、錯乱、無力症、不眠、頭痛、せん妄、幻覚および過興奮性を含む他の神経系の関連する症状の多くの症例を引き起こす可能性があります。

マグネシウム不足がほとんどの大うつ病およびIQ低下を含むメンタルヘルス問題関連の要因である可能性があり、公衆衛生にとって非常に重要で、早急に検証するために更なる研究が望まれます。

精製された穀物および飲料水に生物学的に利用可能なマグネシウムを20世紀前の時代のレベルまで強化することが推奨されます。

(注: 米国では100年以上前の1日当たりのマグネシウム摂取量は400 mgで近年は250 mgと減少していると報告されています)

参考資料:

Eby GA, Eby KL. Rapid recovery from major depression using magnesium treatment. Med Hypotheses 67:362-370, 2006.

doi:10.1016/j.mehy.2006.01.047

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16542786

Eby GA, Eby KL. Magnesium for treatment-resistant depression: a review and hypothesis. Med Hypotheses 74:649-660, 2010. 

doi:10.1016/j.mehy.2009.10.051.

http://george-eby-research.com/html/magnesium…

コメント

この研究の研究者が発表したうつ病に対するマグネシウムの有効性に関し、米国内におけるマグネシウム摂取量が100年間に1日当たりの摂取量が400 mg から250 mgまで減少しているのが一因とし、早急に予防を含めてマグネシウム摂取量の増加が推奨されていることが注目されます。

当ホームページでは以下のサイトでマグネシウムとうつ病に関してご紹介してきました。

2013.05.01  奇蹟のマグネシウム

2011.11.17  高齢2型糖尿病患者のうつ治療における経口マグネシウムサプリメントの有効性と安全性: ランダム化、同等性試験

2011.11.07  高齢の糖尿病患者のうつ症状と低マグネシウム血症

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