マグネシウムは脂肪細胞におけるインスリン依存性グルコース取り込みを増加させる

公開日:2026年4月1日

2022年、オランダRadboud University Medical Center、Jeroen Bosch Hospital、中国Capital Medical Universityの研究者らの“マグネシウムは脂肪細胞におけるインスリン依存性グルコース取り込みを増加させる”に関する報告したので、その論文概要を紹介します。

▼背景

2型糖尿病(T2D)は、インスリン感受性が低下している状態が特徴です。T2D の人ではマグネシウム(Mg²⁺)不足がよく見られます。しかし、脂肪細胞における低Mg²⁺濃度がインスリン感受性や糖代謝に及ぼす分子レベルでの影響は解明されていません。この研究の目的は、インスリン依存性グルコース取り込みにおけるMg2+の役割を明らかにすることです。

▼方法

まず、395人のT2D患者のデータ を解析し、低血漿Mg²⁺濃度とインスリン抵抗性の指標との関連を調べました。
次に、3T3-L1脂肪細胞を Mg²⁺なし(0 mmol/L) または 通常量(1 mmol/L、2.43 mg/dL) で24時間培養した後、インスリン刺激を行い、インスリン依存性グルコース取り込みにおけるMg2+の分子レベルでの役割を検討しました。放射性グルコース標識、酵素アッセイ、免疫細胞化学、ライブイメージング顕微鏡を用いて、インスリン受容体ホスホイノシチド3-キナーゼ/Akt経路を解析しました。エネルギー代謝は、 Seahorse社製細胞外フラックスアナライザーを用いて評価しました。

▼結果

T2D患者では、血漿Mg²⁺濃度が低いほどインスリン抵抗性が高いという逆相関が認められました。
Mg²⁺不足状態の脂肪細胞では、インスリン依存性グルコース取り込みが対照のMg2+条件下と比較しておよそ50%低下しました。
インスリン受容体のリン酸化(Tyr1150/1151)およびPIP3量は、Mg²⁺不足脂肪細胞において低下していませんでした。

Aktセンサー(FoxO1-Clover)を導入した脂肪細胞のライブイメージング顕微鏡観察では、FoxO1の核から細胞質への移行が減少していることが示され、Mg2+不足脂肪細胞におけるAkt活性化の低下を示しました。レクチン膜マーカーおよび膜に局在するMycエピトープタグ付きグルコーストランスポーター4(GLUT4)を用いた免疫細胞化学染色により、インスリン刺激を受けたMg2+不足脂肪細胞では、対照群と比較してGLUT4の移行が減少していることが示されました。Mg2+不足脂肪細胞におけるエネルギー代謝は、インスリン刺激後の解糖系の低下を特徴としていました。

▼結論

Mg²⁺は脂肪細胞におけるインスリン依存性グルコース取り込みを増加させ、Mg²⁺不足が2型糖尿病患者のインスリン抵抗性に寄与している可能性を示唆しています。

 

参考資料:

Oost LJ, Kurstjens S, Ma C, Hoenderop JGJ, Tack CJ, De Baaij JHF. Magnesium increases insulin-dependent glucose uptake in adipocytes. Frontiers in Endocrinology 13:986616, 2022

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9453642/

 

コメント

この研究者らは、脂肪細胞にてインスリン依存性グルコース取り込みにおけるマグネシウムの分子レベルでの役割を明らかにし、マグネシウム不足が2型糖尿病患者のインスリン抵抗性に寄与している可能性を発表されたことに意義があります。

この研究の主任研究者De Baaij JHF, Radboud University Medical Centerは、Mgに関し以前から精力的に数多くの研究論文を発表され、当MAG21研究会のホームページで一部解説しています。

 

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