CaとMgを含むサプリメントの特性とその比率-上昇する比率は懸念すべきか?

公開日:2026年5月27日

2020年、米国・国立衛生研究所(NIH)栄養補助食品局、ハワイのマグネシウム教育研究センター、ヴァンダービルト大学医学部疫学部門の研究者らが“カルシウムとマグネシウムを含むサプリメントの特性とその比率-上昇する比率は懸念すべきか?”に関する報告をしたので、その論文の概要を紹介します。

マグネシウム摂取量が少なく、カルシウム摂取量が多い、つまり カルシウム対マグネシウム(Ca:Mg)摂取比率が高い状態は、心血管疾患やメタボリックシンドロームなどの複数の慢性疾患、一部のがん(大腸がん・前立腺がん・食道がん)、そして総死亡率の上昇リスクと関連していることが報告されています。

食事中のCa:Mg比率が高すぎる(>2.60) と、体内のマグネシウム状態に悪影響を及ぼす可能性があります。一方で、Ca:Mg比率が極端に低い(<1.70)食事をしている人がマグネシウムを大量に摂ると、逆に不利益が生じる可能性もあります。そのため、Ca:Mg比率は1.70~2.60(重量比)が最適範囲と提案されています。

アメリカの国民健康栄養調査[National Health and Nutrition Examination Survey (NHANES)]によると、 2000年以降、米国成人の食事由来の平均Ca:Mg比率は常に3.0を超えています。アメリカ人の 1/3 はマグネシウムサプリメントを摂取(平均146 mg/日)、35% はカルシウムサプリメントを摂取(平均479 mg/日)しています。

アメリカ国立衛生研究所(NIH)のサプリメントラベルデータベース(DSLD)に登録された米国のサプリメントを調査したところ、 カルシウムとマグネシウムを含む製品全体の平均Ca:Mg比率は 2.90 で、製品形態によって大きく異なっていました。比率は、液体製品での 0.10 から、粉末製品での 48.5 まで幅がありました。製品の31%は比率1.70–2.60の範囲を下回り、40.5%はその範囲内にあり、28.3%はその範囲を上回っていました。

サプリメントから算出したCa:Mg比率と食事摂取データを組み合わせた我々の研究結果は、食事やサプリメントからカルシウムを多く摂取している人では、マグネシウムを追加摂取することで、より望ましいCa:Mg比率に近づけられる可能性があります。

今後の研究により、Ca:Mg摂取比率が慢性疾患リスクを調整する「有用なバイオマーカー」になり得るのか、そしてどの人口集団がその恩恵を受けやすいのかといった点が明らかになることが期待されます。

 

参考資料:

Costello RB, Rosanoff A, Dai Qi, Saldanha LG, Potischman NA. Perspective: Characterization of Dietary Supplements Containing Calcium and Magnesium and Their Respective Ratio – Is a Rising Ratio a Cause for Concern? Adv Nutr 12:291–297, 2020

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8264923/

 

 

コメント

この研究者らは、カルシウム対マグネシウム(Ca:Mg)摂取比率が、心血管疾患やメタボリックシンドロームなどの複数の慢性疾患、一部のがん(大腸がん・前立腺がん・食道がん)、そして総死亡率のリスクと関連していることが報告されていることから、アメリカの国民健康栄養調査によるCaとMgサプリメントから算出したCa:Mg摂取比率を発表されたことに意義があります。

日本人のCa、Mg摂取量とCa:Mg摂取比率のデータを昭和21(1946)年~令和6(2024)年まで更新したデータは、MAG21研究会のホームページで公開しています。日本人のCaとMgの食事摂取比率は2対1より低く、2対1.5~1が望ましいと考えられています。

日本人のカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)摂取量とCa/Mg摂取比率(1946~2024年) 更新  公開日:2026年2月12日

 

マグネシウムの摂取不足は虚血性心疾患、高血圧・糖尿病・メタボリックシンドロ-ムなどの生活習慣病、歯周病、喘息、不安とパニック発作、うつ病、(慢性)疲労、片頭痛、骨粗鬆症、不眠症、こむら返り、便秘、PMS(月経前症候群)、悪阻(つわり)、胆石症、尿路結石、大腸がん、すい臓がん、動脈硬化、全身性炎症性疾患、そして長期記憶、アルツハイマー病、さらには、昨今パンデミックとなった新型コロナウイルス感染症とその重症化リスクなど様々な疾病・病態とも密接に関連していることが基礎的・臨床的・疫学的研究でも明らかにされています。今後マグネシウム摂取の重要性がさらに認知され、正しい食育が行われる事が切に望まれます。

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