成人におけるマグネシウムと認知機能の健康:系統的レビューとメタ解析

公開日:2026年9月29日

2024年、米国・マサチューセッツ大学ローウェル校ザッカーバーグ健康科学カレッジ 生物医学・栄養科学学科、タフツ大学フリードマン栄養科学・政策スクール、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院栄養学部門、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院リウマチ科・免疫学科・アレルギー科、コーネル大学栄養科学部門の研究者らの“成人におけるマグネシウムと認知機能の健康:系統的レビューとメタ解析”に関する報告をしたので、その論文概要を紹介します。

概要

マグネシウム(Mg)は、神経機能やその症状の発現に重要な役割を果たしています。しかし、成人におけるMgと認知機能の健康との関連について、ランダム化比較試験(RCT)やコホート研究からのエビデンスを系統的にレビューした研究はこれまでありませんでした。

本研究では、Mg のさまざまな形態(サプリメント、食事摂取量、血中バイオマーカー)が認知機能にどのように関連するかを、RCT とコホート研究の結果を総合して評価することを目的としました。

 方法

PubMed、Embase、PsycINFO、Cochrane Central Register of Controlled Trials を用いて、2024年5月3日までに発表された査読付き論文を検索しました。Mgと認知機能の関連を評価するため、以下の3つのランダム効果モデルを用いました: 1) 線形メタ回帰、2) 非線形(2次関数的)メタ回帰、3) 既存の推奨値に基づき Mg 指標を分類したメタ解析。

 結果

本系統的レビューには、3件のRCT と 12件のコホート研究が含まれました。

限られた数のRCTからのエビデンスでは、Mgサプリメントの効果について結論を導き出すには不十分でした。

コホート研究において、食事性Mg摂取量と認知障害との間には一貫性のない用量反応関係が示され、対象集団間での不均一性も高いことが確認されました。しかし、コホート研究では、血清Mg濃度と全原因認知症および認知機能障害との間に一貫したU字型の関連が認められ、最適な血清Mg濃度は約0.85 mmol/Lであることが示唆されました。この非線形な関連は、メタ回帰(Pquadratic = 0.003)および血清Mgの基準範囲(0.75~0.95 mmol/L)に基づくメタ解析において確認されました[0.85 mmol/Lと比較して<0.75 mmol/Lの場合:統合ハザード比(HR)= 1.43、95%信頼区間(CI)= 1.05–1.93;0.85 mmol/Lと比較して>0.95 mmol/Lの場合:統合HR = 1.30、95% CI = 1.03–1.64]。

 

結論

Mgと認知機能の関係を明確にするには、さらなるRCTとコホート研究が必要です。特に今後のコホート研究では、さまざまなマグネシウム(Mg)のバイオマーカーを評価するとともに、摂取源(食事またはサプリメント)や吸収に影響を及ぼす要因(例:カルシウム対Mg摂取比)を考慮した上で、経時的なMg摂取量の反復測定が求められます。

本系統的レビューは、PROSPERO(CRD42023423663)に事前登録されています。

 

参考資料:

Chen F, Wang J, Cheng Y, Li R, Wang Y, Chen Y, Scott T, L. Tucker KL. Magnesium and Cognitive Health in Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis. Advances in Nutrition 15:100272, 2024

https://doi.org/10.1016/j.advnut.2024.100272

 

【コメント】

この研究者らは、マグネシウム(Mg)のさまざまな形態(サプリメント、食事摂取量、血中バイオマーカー)が認知機能にどのように関連するかを、臨床ランダム化比較試験(RCT)とコホート研究の結果を総合し、血清Mg値は「低すぎても高すぎても」認知症リスクが上がり、最適値が 0.85 mmol/L(2.07 mg/dL)と示されたのは意義があります。

今後のさらなるランダム化比較試験とコホート研究が期待されます。

 

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