2023(令和5)年国民のマグネシウム摂取量

公開日:2025年3月3日

マグネシウムの日本人の食事摂取基準と推定摂取量の比較表を更新致しましたので、お知らせします。

 

更新内容は、令和5年「国民健康・栄養調査」の結果 2024(令和6)年11月25日 厚生労働省健康・生活衛生局 健康課 栄養指導室 報道発表資料、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」 2019(令和元)年12月24日「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書」 厚生労働省健康局健康課栄養指導室 報道発表資料を含みます。

 

なお、国民健康・栄養調査2020(令和2)及び2021(令和3)年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により中止されました。

 

厚生省(当時)が初めて国民栄養調査にマグネシウムを含めた2001(平成13)年から2023(令和5)年のデータを解析しました。当初から23年間分のデータを表示すると表の行数が増え過ぎるので、奇数年の表示としました。但し、2010及び2020年度は「日本人の食事摂取基準(2010及び2020年版)」が報告されているので、2010年度の推定摂取量も表示しました。

この23年間1日当りの推定摂取量は、男性でおよそ280mgから239mg、女性でおよそ250mgから205mgまで減少しました。更に、推奨量と比較し、推定摂取量は男性でおよそ65%、女性でおよそ71%しか摂れていません。

各推奨量に対する摂取量から見た不足量(推定)は1日当り男性で129~132mg、女性で76~93mgで、近年の上昇傾向が認められます。

マグネシウムの日本人の食事摂取基準と推定摂取量の比較
男女30~49歳、摂取量 平均値(mg/日)

対象
年度
食事摂取基準1
推奨量
国民健康・栄養調査2
推定摂取量
推奨量に対する
不足量
男性 女性 男性 女性 男性 女性
2001 267~277 228~248
2003 258~270 219~244
2005 370 280 249~265 221~238 105~121 42~59
2007 250~257 219~224 113~120 56~61
2009 246~254 208~222 116~124 58~72
2010 370 290 240~244 208~213 126~130 77~82
2011 231~239 200~212 131~139 78~90
2013 243 204~211 127 79~86
2015 370 290 243~249 205~219 121~127 71~85
2017 234~239 203~213 131~136 77~87
2019 236~251 205~219 119~134 71~85
2020 370 290
2023 238~241 197~214 129~132 76~93

※強化食品及び補助食品からの摂取については把握していない。

(参照)

1.「日本人の食事摂取基準(2005年版)」 2004(平成16)年11月22日厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室栄養指導係報道発表資料

日本人の食事摂取基準(2010年版)」 2009(平成21)年5月29日厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室報道発表資料

日本人の食事摂取基準(2015年版)」 2014(平成26)年3月28日「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」の報告書 厚生労働省健康局がん対策・健康増進課栄養指導室 報道発表資料

日本人の食事摂取基準(2020年版)」 2019(令和元)年12月24日「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書」 厚生労働省健康局健康課栄養指導室 報道発表資料

2.厚生労働省 「国民健康・栄養調査

 

コメント: 

今回、男女30~49歳のマグネシウムの日本人の食事摂取基準と推定摂取量の比較表を「令和5年「国民健康・栄養調査」の結果」、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」データに基づき更新しました。

なお、わが国の国民一人当たりのカルシウム摂取量は、厚生省(当時)が国民栄養の現状として戦後1946年来毎年調査報告し、厚生労働省が国民健康・栄養調査として2003年来毎年調査報告しています。

一方マグネシウム摂取量は、カルシウムの調査報告より55年後の2001年から厚生省が調査報告を開始しました。カルシウムと比較し、マグネシウムはそれほど研究されていない“オーファン栄養素(Orphan nutrient)”です。この為、マグネシウムに関する国の認知が相当遅れたため国民の認知が更に遅れています。

その様な背景もあり、マグネシウムの摂取量は推奨量に対し、男性でおよそ65%(1日当り129~132mgの不足)、女性でおよそ71%(1日当り76~93mgの不足)しか摂れていません。この様に女性より男性に摂取不足量が多いのは、糖尿病・メタボリックシンドロ-ムなどの生活習慣病をはじめ様々な疾患が男性に多いのと関係がある可能性があります。

マグネシウムの摂取不足は、カルシウム対マグネシウム(Ca/Mg)の食事摂取比率に関係します。マグネシウムの摂取量が減少するとCa/Mgの食事摂取比率が上昇し今後、虚血性心疾患などの動脈硬化性疾患死亡率が高く、また2型糖尿病、メタボリックシンドローム、骨粗鬆症、および他の炎症に関連した疾患の発症率に影響することが示唆されています。

2021-05-06 日本人のカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)摂取量とCa/Mg摂取比率(1946~2019年) 更新

マグネシウムは健康長寿と密接に関係しています。

マグネシウムの摂取不足は虚血性心疾患、高血圧・糖尿病・メタボリックシンドロ-ムなどの生活習慣病、歯周病、喘息、不安とパニック発作、うつ病、(慢性)疲労、片頭痛、骨粗鬆症、不眠症、こむら返り、便秘、PMS(月経前症候群)、悪阻(つわり)、胆石症、尿路結石、大腸がん、すい臓がん、動脈硬化、全身性炎症性疾患、そして長期記憶、アルツハイマー病、さらには、昨今パンデミックとなった新型コロナウイルス感染症とその重症化リスクなど様々な疾病・病態とも密接に関連していることが基礎的・臨床的・疫学的研究でも明らかにされています。今後マグネシウム摂取の重要性がさらに認知され、正しい食育が行われる事が切に望まれます。

MAG21研究会のホームページでは、検索機能を設置しています。例えば“国民のマグネシウム摂取量”などの検索ワードを入力して記事を検索すると関連記事がリストアップされますので、ご利用ください。

マグネシウムに関する様々なご質問を心からお待ちしております。

検索

新着記事