マグネシウム摂取量と睡眠時間および睡眠の質との関連:CARDIA研究からの知見

公開日:2026年7月28日

2022年、米国・コロンビア大学産婦人科・疫学教室、ノースウェスタン大学 ファインバーグ医学部 神経内科・概日リズム睡眠医学センター、ノースウェスタン大学 ファインバーグ医学部 予防医学教室、ボール州立大学 栄養・健康科学教室、インディアナ大学 公衆衛生大学院疫学・生物統計学教室、インディアナ大学医学部産婦人科教室、アラバマ大学バーミンガム校 医学部 内科・予防医学部門の研究者らの“マグネシウム摂取量と睡眠時間および睡眠の質との関連:CARDIA研究からの知見”に関する報告をしたので、その論文概要を紹介します。

研究目的

マグネシウム(Mg)はカルシウム(Ca)の拮抗作用を持ち、睡眠の調節に関わる可能性が示されています。本研究では、Mg摂取量およびCa対Mg摂取比(Ca:Mg)が、睡眠の質および睡眠時間との長期的な関連を検討することを目的としました。

方法

対象は、若年成人の冠動脈疾患リスク研究【大規模前向きコホート研究、Coronary Artery Risk Development in Young Adults(CARDIA)】に参加した3,964名(ベースライン平均年齢25.0±3.6歳、女性56.1%)です。Mgの食事摂取量とサプリメント摂取量は、ベースライン(1985–1986年)および調査7年目・20年目のCARDIA食事調査から取得しました。自己申告による睡眠データは、調査15年目および20年目に収集しました。睡眠の質は、1(とても良い)~5(とても悪い)で評価しました。睡眠時間は、7時間未満、7~9時間、9時間超の3分類にしました。2時点の繰り返し測定として、一般化推定方程式(GEE)で関連を解析しました。

結果

潜在的な交絡因子を調整した後、以下の結果が得られました:

最も摂取量が多い群第4四分位(Q4、Mg 195.8 mg/1,000 kcal/日)対最も少ない群第1四分位(Q1、Mg 105.5 mg/1,000 kcal/日)のオッズ比(OR) = 1.23(95%信頼区間(CI): 0.999–1.50, 傾向 p = 0.051)

※「境界的に有意」=ギリギリ有意に届かないが、関連が示唆されるレベル

Q4対Q1 OR = 0.64(95%CI: 0.51–0.81, 傾向 p = 0.012)

Q4対Q1 OR = 0.64(95%CI: 0.49–0.82, 傾向 p < 0.001)


結論

Mg摂取量は、睡眠の質と睡眠時間の両方に関連していました。 ただし因果関係を確定するには、客観的な睡眠指標を用いたランダム化比較試験が必要です。

 

参考資料:

Zhang Y, Chen C, Lu L, Knutson KL, Carnethon MR, Fly AD, Luo J, Haas DM, Shikany JM, Kahe K. Association of magnesium intake with sleep duration and sleep quality: findings from the CARDIA study. Sleep 45:1-8, 2022, zsab276

https://doi.org/10.1093/sleep/zsab276

 

コメント

この研究者らは、Mg摂取量およびCa対Mg摂取比(Ca:Mg)が、睡眠の質および睡眠時間との長期的な関連を検討し、Mg摂取量は睡眠の質と睡眠時間の両方に関連が認められると発表されたことに意義があります。

この研究の主任研究者コロンビア大学 Ka He教授は、Mgに関し以前から精力的に数多くの研究論文を発表され、当MAG21研究会のホームページで一部解説しています。

2006年、米国ノースウエスタン大学医学部の研究者Ka He教授(当時)らは、“18~30歳の若者4,637例を対象に15年間追跡調査し、マグネシウム摂取量が最も多い群では最も少ない群に比べてメタボリックシンドロームになるリスクは31%減少し、「若い時から十分なマグネシウムの摂取がメタボリックシンドロームになるリスクを低下する」と報告しています。

He K, et al., Circulation 113:1675-1682, 2006

https://www.ahajournals.org/doi/full/10.1161/circulationaha.105.588327

なお、Ka He教授は2012年5月、日本糖尿病学会の招聘により来日され、①日本糖尿病学会年次学術集会ランチョンセミナー、②同学会シンポジウム、③日本糖尿病学会関東甲信越支部学術集会それぞれで講演されました。

2012-04-23 Ka He先生来日3回講演のお知らせ

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